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- お墓にまつわるトラブルあれこれ:その1 本家と分家
その1 本家と分家
お墓というのは地域性が非常に密接に関わってきます。
日本全国のお墓というものをすべて語りつくすことは出来ないわけで、それならば私たちは自分たちの活動圏内である、神奈川、横浜という地域に特化した情報を、深く掘り下げてご提供したいと思うのですが、このエリアは東京のベッドタウンということもあり、実家が田舎にあってお墓もそこにある。
遠方でなかなか供養が十分にできない。それならばこちらにお墓を持ってきたい、という希望を持つ方も大勢いらっしゃるわけです。
そういうときに、いろいろなトラブルが生じやすいようですが、このトラブルが訴訟にまで持ち込まれるというケースもあります。
小松先生に、事例をあげてご説明頂きたいと思います。
比較的首都圏から近い地方で起きたケースでご説明しましょう。
本家が昔から伝わる大きな立派な墓所を持っていました。
分家は、本家の了承を得て、その墓所内に自分たちの墓を建てていたわけです。
ところが十数年前に本家が都会に引っ越してしまった。
残されたお墓は分家が集まってお守りしていたわけです。
すると、どうしても年月が経つうちに、「いまこの墓を守っているのは自分たちだから、それなりの権利があるはずだ」という意識が芽生えてくるのですね。
昔と違い、本家分家といっても、身分的な差がある時代ではありませんから、 まあその力関係というのは地域によって様々ですが、だんだん薄れつつあるわけですね。
そこで本家の意向を無視して、墓所内に新しい墓石を建てるなどということをしたわけです。
本家のほうも、そういうことなら首都圏に自分たちの墓を移して、落ち着きましょうということになりました。
そこまではよかったのですが、実際に田舎の墓所の設備をどこまで移設するか、というところで分家と話が合いません。
例えば墓所内にある五輪の塔をどうするか、あるいは古い墓石類をどうするかといった問題です。
墓石に刻まれた文字をひとつひとつ読み取り、本家の過去帳と照らし合わせていきます。
そのほか、一族を象徴するような碑、一族全体の記念となるようなものなどが出てくるともうお手上げです。
本家側は墓所明け渡し請求をしようか、というところまで行きましたが、結局はなんとか和解し、分家の墓地管理権も認めるというところで話がまとまりました。