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- [お墓のことを知る・考える] 専門家の対談
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その2 成年後見制度について
ドイツの世話法、イギリスの持続的代理権授与法を参考にして、日本でも2000年4月、旧来の禁治産・準禁治産制度にかわって設けられた法律。
認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な人は不動産や預貯金などの財産を管理したり身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合がある。
また自分に不利益な契約であっても正しい判断ができずに契約を結んでしまい悪徳商法の被害にあうおそれもある。
このような判断能力の不十分な人を保護し支援するのが成年後見制度である。
成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度の2つに大別され、法定後見制度は家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら本人の代理として契約などの法律行為を行ったり、本人が自分で法律行為を行うときに同意を与えたり、本人が同意を得ないで結んだ不利益な法律行為を後から取り消したりすることができる。
一方、任意後見制度とは本人が十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分な状態になった場合に備え、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくという制度。
本人の判断能力が低下した後、任意後見人が任意後見契約で決めた事務について家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと本人を代理して契約などをすることにより、本人の意思に従った適切な保護・支援を行う。
2006年度の成年後見申し立ては3万2千件あまりで前年の1.5倍に急増している。
その大半が法定後見である。
制度が定着してきたことに加え、障害者自立支援法の施行に伴って施設と契約を結び直すために親などが申し立てるケースが増えたためとみられる。
またその一因には、福祉サービスの仕組みが、行政側が内容を決める「措置」から、施設と当事者の間で契約を結ぶ「契約」に変わったことが挙げられる。
以前にあった「禁治産者」「準禁治産者」の制度に比べ、判断能力を調べるための鑑定を省けるなど手続きを簡素化し利用しやすくしたことも影響している。
審理期間は年々短くなっており、8割以上が4カ月以内に済んでいる。
2006年度に選ばれた成年後見人は親族が82%、詐欺や訪問販売などの被害を避けるため、弁護士5.1%、司法書士6.2%、社会福祉士2.8%といった専門家の数も増えつつある。