お墓のことを知る・考える 転ばぬ先の杖

専門家の対談

お寺とのつきあい方

その3 おカネの話
縄嶋

先ほどトラブル事例紹介の項目で、霊園墓地に関する金銭的なトラブルの話がありましたが、寺院墓地の場合はいかがでしょうか。

また、お寺さんに対しては「具体的にお金をいくら、誰に払えばいいのかわかりにくい」という問題があるように思います。
私たち一般人はどのように考えればよいのでしょうか?

成田ご住職

私の知る限り、お寺ではあまり金銭的に悪質なところはないようです。
もちろんお寺さんによりけり、住職さんのお考えによりけりではありますが、原則としてお寺はその地域から逃げることができないのですね(笑)。

ですからあまり無責任なことはしません。
墓所の管理運営にしてもおおむね良心的にやられています。

とはいえ、立派な外車がズラリと並んでいるお寺などもあるわけで、そういうものを見ると世間から誤解を受けても仕方ないとは感じます。

お寺とお金の話をすると、まず「お布施」というものがありますね。
読経や戒名のお礼としてお受け取りいたしますが、読経料や戒名料という言葉はつかいません。
代価ではないのですね。

施す側も受け取る側も清浄でなんのとらわれもないものでなければならないことになっています。

仏教には「布施行」という行があります。
これはお金や物を与えるというような狭い意味ではなく、他人に教えを説き恐れや不安を取り除くことも布施なのですね。

私どもも行っている福祉的な活動も布施行の一種です。
僧侶がお布施として金品を受け取るのは、決して私物化するわけではなく、その金品をまた社会に還元することが前提で、極めて公共性の高いことなのです。

そういう意味では先ほどお話のあった、宗教法人の名義貸しなどはいかがなものかと思います。

墓地の経営が許可されるのは、さきほど公益法人というご説明もありましたが、実質的には地方公共団体ということになります。
宗教法人と地方公共団体だけです。
その宗教法人が名義を貸すということに関しては、もちろん厳しい許認可管理もあるのですが、 にも関わらずキチンとしていない団体が借りてしまう例も多いようです。

責任を持って公正な運営のできる、財務状況なども公開しているような法人に限り、さらにしっかり管理監督してゆくことが大切ではないでしょうか。

私にも、住職という立場と同時に宗教法人の経営者であるという立場があります。
お寺の財務管理や運営といったこともひとつひとつ丁寧に行っております。

対談
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